心の死

エリザベス・ボウエン著/太田良子訳
四六判上製 520頁
定価:2,970円(本体2,700円)
978-4-7949-6892-0 C0097 〔2015年9月〕


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20世紀英国文壇の重鎮が重厚に綴る〈少女の人生論〉

軋む心、増していく痛みに、世界の表層は剥がされていく
ーー柴崎友香さん 推薦

十六歳の少女ポーシャは両親を亡くし、年の離れた異母兄トマスとその妻アナの豪華なロンドンの屋敷に預けられる。「娘に一年だけでも普通の家庭生活をあじわわせてやってほしい」という亡父の遺言を受けてのことだった。
その家には人気作家や元軍人をはじめ、夫妻の友人たちがよく訪れた。ポーシャは、アナの客人で、不敵な世界観を持つ美青年エディに心魅かれていく。寄る辺のないポーシャは、手紙と日記に心をゆるしていて、手紙をくれたエディには、彼女の日記を読ませてあげた。しかしもう一人、その秘密の日記を覗き見る大人の影が……。
無垢な少女のまわりで、結ばれ、もつれ、ほどけていく人間の絆……心理の綾を微細に描き、人生の深遠を映し出す、稀代の巨編。

 

 

◇エリザベス・ボウエン(1899~1973年)
1899―1973。アイルランドのダブリンに生まれ、ロンドンに没する。生涯で10編の長編小説と、百余りの短編小説を執筆。代表作「パリの家」がイギリスで20世紀の世界文藝ベスト50の一冊に選ばれている。晩年の作「エヴァ・トラウト」は1970年のブッカー賞候補となる。2000年前後からボウエン研究はさらなる高まりを見せ、欧米の気鋭の文学研究者の関心を一身に集めている。
◇太田良子(おおた・りょうこ)
東京生まれ。東洋英和女学院大学名誉教授。日本文藝家協会会員。2013年、エリザベス・ボウエン研究会をたちあげ、2016年春にはボウエン論集を刊行。訳書に、ボウエン「パリの家」「日ざかり」(晶文社)、「エヴァ・トラウト」「リトル・ガールズ」「愛の世界」(国書刊行会)、同「あの薔薇を見てよ」「幸せな秋の野原」(ミネルヴァ書房)、ベルニエール「コレリ大尉のマンドリン」(東京創元社)ほか多数。

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