開発ノート 偉大なる呪縛

某月某日

 インターフェース・ビルダーというのは、アプリを開発するときに使うソフトウェア・開発環境で、Mac OS Xの基盤技術となっていたNeXT社のOPENSTEP、NEXTSTEPから、設計思想が変わっていない。
 これが、スティーブ・ジョブズがアップルを追い出されていた間に作ったNeXT社のオペレーティング・システムの中に組み込まれていたというのは、今にして思えば、信じがたいくらい先進的なことだった。
 世にオブジェクト指向という言葉はよく言われるけれど、本当にオブジェクティブにできているものはそんなにない。直感的とか見た目通りとかいうのは、当時も今も実装するのに多大なリソースを要する。
 しかもセンスが要る。それを判断するセンスは、ジョブズくらいしか持っていないなかなか希有な資質である。
 ジョブズの死後、いまのアップル製品がいろいろな意味で「ようわからん」のは、ようわからんものを「継承できる形があるもの」としているからかもしれないし、ジョブズを超えようとするこころみなのかもしれない。
 でも、iOS7は、どうみても一貫性を欠いている。
 使う段階でこういうものにするというモデルはわかるけれど、開発する環境は昔のままなのだ。
 もがくのは勝手だが、ユーザーや開発に優しいもがきかたをしていただきたいと強く懇願する次第である。