古本的思考

――講演敗者学

山口昌男 著
四六判上製 344頁
定価:2,970円(本体2,700円)
978-4-7949-7059-6 C0021〔2018年9月〕


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近代日本の負け派に着目した
「敗者学」の入門テキスト

後期⼭⼝⼈類学は、⾃ら「敗者学」と名づけた、近代⽇本において挫折した⼈々や戊⾠戦争に敗れた幕⾂たちのネットワークの探求に向けられた。それは歴史⼈類学3部作と呼ばれる著作へと結実したが、著者は同時期に、本書に収録した敗者学に繋がる講演を各所で⾏っている。

本書に収録したのは、これまでどこにも発表されずに著者の自宅に眠っていた原稿や少部数の私家版のみに発表されたものも含め、単行本には未収録のものばかり。これは、山口昌男が私たちに遺した貴重な置き土産である。

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【目次】

第一部 『「挫折」の昭和史』と『「敗者」の精神史』の周辺

書物と静岡/吉野作造と街角のアカデミー/
再生へのもうひとつの視座̶̶水平型ネットワーク人に学ぶもの/
私の田中智学/山名文夫の仕事/
探墓多磨霊園̶̶武蔵野の緑に囲まれて眠る人々

 

第二部 西洋と日本のアートとスポーツ

蝶々と人魚̶̶大正のシンボル/文化とスポーツ/
先人の著書にみるユーモア/会津幻視行

 

第三部 古本と新しいパラダイム

近代日本における“知のネットワーク” の源流/
『書画骨董雑誌』をめぐって/雑本から始まる長い旅(インタビュー)

 

◇山口昌男(やまぐち・ まさお)
1931年北海道生まれ。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所所長、札幌大学学長等を歴任。文化人類学者として、西アフリカ、インドネシア、カリブ海諸国等でフィールドワークを行う。道化・トリックスターの分析、中心と周縁理論、近代日本の負け派に着目した敗者学を通じて、国内外の思想界に衝撃を与え、その広い学識は、文学・芸術等の分野にも影響を及ぼした。2013年逝去。
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