10代脳の鍛え方

――悪いリスクから守り、伸びるチャレンジの場をつくる

ジェス・P・シャットキン 著 尼丁千津子 訳
四六判並製 400頁
定価:2,420円(本体2,200円)
978-4-7949-7080-0 C0011〔2019年3月〕


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「危ないから」では止まらない
青年期の脳の仕組みを理解し、
健全な成長へと導くには――

タバコ、アルコール、薬物依存、SNSへの過剰な反応、無防備なセックス……大人になる前の若者は、なぜ危険なものに惹かれ、向こう見ずな行為に走るのか? アメリカを代表する児童心理の専門家が、脳科学や生理学、発達心理学などの最新の知見から、10代の脳と体、心、行動の仕組みを解き明かし、子どもたちを悪いリスクから守り、「立ち直る力(レジリエンス)」を鍛える有効な方法を伝える。

※原書の巻末に収録されているSelected Bibliography(参考文献)については、こちらをご参照ください

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【目次】

はじめに

第1章 危険に対する若者の本音

危険は現実になる
若者の「無敵神話」
全体像の見直し
子どもたちは突拍子もないことを言う
レイク・ウォビゴン効果
危険と「立ち直る力(レジリエンス)」
青年期の矛盾

第2章 なぜ自分の身を守れないのか

「目標は一〇〇パーセント無傷であること」
効果のなかった非行防止活動
事態を悪化させる介入
ゼロ・トレランスの犠牲者
不十分で不明瞭なデータ
正しい対策を考えるには

第3章 神経回路の驚異、もしくは脳はどのように作られるか

脳の設計図
成長とともに脳はどう変化するか
報酬に基づく学習
青年期の役割
若者にありがちな振る舞い
睡眠と電子機器
溺れる脳

第4章 青年期はなぜ必要なのか

進化の理にかなった発達段階
危険を察知する能力
大量のホルモンを浴びながら
思春期早発症
進化の妥協点
身体能力のピークと脳の成熟

第5章 同調圧力の内部事情

友人関係におけるトレードオフ
認知の歪み
その場の勢いに流されて
駆け足の人生
心の痛みと体の痛み
SNSが脳と行動に与える影響
サルも人間も同じ

第6章 脳はどのように判断しているのか

後先を考えない
やる気もあるし、機会もある
あなたはいったいどういうつもりだったの?
デカルト的二元論

第7章 「要旨」をつかむ考え方

判断の熟練者
若者の脳は忙しい
より少ないことがより多くの役に立つとき
ファジートレース理論
発達上の逆転
量的な考え vs 質的な考え

第8章 「ちょうどよい」親業

「ちょうどよい」親業とは
親のための対処法訓練
そこにいること
電子機器の使用についての基本方針
報酬のかたちを変える
僕があなたに嘘をつくとでも?
「要旨」の観点を教えるための七つの方法

第9章 隠れたカリキュラムを暴くこと

健康の三本柱
「青年期」という根本の問題
「立ち直る力」を教える
幸福を科学的に考える
マインドフルネスと呼吸法
マインドフルに食べる
感謝の気持ちがストレスを減らす
失敗に終わった保健体育の授業
望ましい行動への感情的なつながりを築く

第10章 全体像を捉える

毒性ストレス
早く、そして頻繁に
マインドセットを変える
メンタープログラムの問題点
無責任な広告
メディアリテラシー
節度を持って酒を飲むことを教えられるか?
社会規範マーケティング
子どもたちが安全でいられる社会

おわりに
謝辞
訳者あとがき
索引

 

◇ジェス・P・シャットキン(JESS P. SHATKIN)
医学博士、公衆衛生学修士。ニューヨーク大学ランゴーン医療センター内のニューヨーク・ハッセンフェルド小児病院児童研究センター教育副部門長、およびニューヨーク大学医学大学院児童青年精神科・小児科教授。子どもと青年期の若者のメンタルヘルスに関するアメリカ最大規模の学部生向け講座の開発・運営責任者でもあり、シリウスXMラジオの相談番組『子どもたちについて』で毎週司会も務めている。妻と二人の青年期の子どもたちとニューヨークに在住。drjesspshatkin.comには著者の研究に関する、より詳しい情報が掲載されている。
◇尼丁千津子(あまちょう・ちづこ)
翻訳家。訳書にK・ロビンソン『パワー・オブ・クリエイティビティ』(日経BP社)、サリヴァン&ズタヴァーン『人工知能時代に生き残る会社は、ここが違う!』(集英社)、P・カンナ『「接続性」の地政学』(共訳、原書房)、S・マクリスタル『TEAM OF TEAMS』(共訳、日経BP社)など。
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