プロジェクト・ファザーフッド

――アメリカで最も凶悪な街で「父」になること

ジョルジャ・リープ 著 宮﨑真紀 訳
四六判並製 424頁
定価:2,530円(本体2,300円)
978-4-7949-7273-6 C0098〔2021年7月〕


アマゾンで購入する
楽天ブックスで購入する
セブンネットで購入する

 

「殺し合いを今すぐやめなきゃならない。
子供たちを救うんだ」
父を知らずに育った男たちが親になるとき――。
貧困、差別、暴力を超えて繋がる男たちのドキュメント

ロサンゼルス南部の街ワッツは、ギャング抗争が頻繁に起こるスラム街。死ととなり合わせの暴力やドラッグ汚染、警官の虐待行為が男たちを捕らえ、父から子、子から孫へと連鎖していく。

人類学者でソーシャルワーカーの著者は、元ギャングメンバーに頼まれて、子供をもつ男性たちの自助グループを運営。毎週水曜日の夜、会合には十代の少年から中年層までが集まり、語り合いながらともに「父になること」を手探りする。たがいの喜びも不安もトラウマをも受けとめながら、子供たちを全力で守り、コミュニティを再生していくことを胸に誓う――。

Zeebra氏(ヒップホップ・アクティビスト)推薦!
父親とはどんな存在であるべきか。そこに完璧な答えなど存在しない。
大切なのは自分と向き合う事。負の連鎖を断ち切るのは貴方です!

水無田気流氏(詩人、社会学者)推薦!
荒んだ街で生き延びるためにこそ、子どもには父親(俺たち)が必要。繰り返されるその言葉は、あまりに重い。父親を知らずに育った男たちが、父親になる意味を問い直し、子どもを守り育てることを誓いながらも、挫折を重ねる。「完璧」からはほど遠い彼らが父親たり得ること(ファザーフッド)を目指すこと。困難で切実なこのプロジェクトの行方を、見守ってほしい。

「日頃から銃を使い、ドラッグを売買し、女たちを殴り、刑務所に行き、どうしたら父親になれるのか見当もつかずにいるそうした男たちは、まず自分自身が父親を求めていたのだ。彼らの喪失感の深さと強い欲求から、本人は直接口にはしないが、一つの疑問がひしひしと伝わってくる。『こんな俺がどうしたら父親になれるのか?』」――本書「父親としての傷」より

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【目次】

01 ワッツ
02 父親としての傷
03 地元
04 あんたも俺たちを見放すのか?
05 ブラザーズ
06 虐待
07 リーリー
08 ファザーフッド
09 父親っ子
10 ベビー・ママ
11 働くお父さん
12 雇用創出
13 ビッグ・ママ
14 光明が差す
15 チェックメイト
16 〈ネーション〉
17 地域のヒーロー
18 ツインズ
19 俺たちはみな家族だ
20 スコットランドからの手紙
21 写真判定
22 俺らがおまえたちのパパになる
23 フッド・デー
24 シュガーベア
25 あと十二日
26 ドアを通り抜けて
27 ジャメル

 

◇ジョルジャ・リープ(Jorja Leap)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会福祉学部の非常勤教授。人類学者でありソーシャルワーカーとしても活躍している。専門領域はギャング文化、暴力、危機対応の心理学。ギャング・コミュニティを調査した著書に“Jumped In:What Gangs Taught Me About Violence, Drugs, Love, and Redemption”がある。サウス・ロサンゼルス出身。
◇宮崎真紀(みやざき・まき)
英米文学・スペイン語文学翻訳家。東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒。おもな訳書に、スザンナ・キャハラン『なりすまし正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験』(亜紀書房)、ガブリ・ローデナス『おばあちゃん、青い自転車で世界に出逢う』(小学館)、カルメン・モラ『花嫁殺し』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、メアリー・ビアード『舌を抜かれる女たち』(晶文社)など多数。
関連書籍