砂の国の遠い声

宮沢章夫 著
四六判並製 192頁
定価:2,200円(本体2,000円)
978-4-7949-7397-9 C0095 〔2023年11月〕


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「これは耳を澄ますための寓話である」
『ヒネミ』『14歳の国』と並ぶ「静かな劇」の幻の傑作、
初上演から約30年の時を経て、
遂に書籍化。

時代は現代、場所は砂漠。「砂漠監視隊」7名が砂漠を見つめるだけの日々。他には何も起こらない。しかし、何か起こってしまっては困るので、監視を続けなければならない。そんな中、遠くから聞こえるかすかな声。その声を聞いたものは砂の向こうに姿を消していく。ひとり、またひとり……。
『ヒネミ』『14歳の国』と並ぶ「静かな劇」の代表作、初上演から約30年の時を経て遂に書籍化。いまなお求められている鎮魂のナラティブ。

〈これは耳を澄ますための寓話である。遠い彼方から聞こえる声、聴き落としてしまいそうな、そのかすかな声を聞くために。「忘れられ、闇の中に消えてしまった、『もうひとつの可能性』を、死者と対話しながら蘇らせる」ために。砂漠を監視する者らのただ茫然とした日常と、砂漠が生んだ奇妙な物語だ〉。(1994年初演時のメッセージより)

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【目次】

1 猫と不安
2 七番目の男
3 耳と砂漠
4 夜
5 手紙とトランプ
6 不在と書き置き
7 夜、再び
8 トランプ
9 集団催眠
10 机の下
11 女
12 読む
13 さらに、夜
14 砂の国の遠い声

付記

 

◇宮沢章夫(みやざわ・あきお)
1956年、静岡県生まれ。劇作家・演出家・小説家。劇団「遊園地再生事業団」主宰。放送作家として活動中、シティボーイズ、竹中直人、いとうせいこうらとの演劇ユニット「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」の作・演出を担当。その後、遊園地再生事業団を立ち上げ、『ヒネミ』で第37回岸田國士戯曲賞を受賞。『時間のかかる読書—横光利一『機械』を巡る素晴らしきぐずぐず』(河出書房新社)で第21回伊藤整文学賞を受賞。『牛への道』(新潮文庫)、『長くなるのでまたにする。』(幻冬舎文庫)などのエッセイで人気を博す。『サーチエンジン・システムクラッシュ』(文藝春秋)が第122回芥川賞候補、第13回三島賞候補に選ばれるなど、小説も多数発表。早稲田大学文化構想学部教授として後進の指導にあたった。2022年9月、逝去。
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