アドリエンヌ・リッチ 著 大島かおり 訳
四六判並製 376頁
定価:3,080円(本体2,800円)
978-4-7949-8007-6 C0398 〔2025年8月18日発売予定〕
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創立65周年記念
アドリエンヌ・リッチ三部作、
待望の復刊!
1989~1990年にかけて小社より刊行されたアドリエンヌ・リッチ著『女から生まれる』『噓、秘密、沈黙。』『血、パン、詩。』
復刊を望む声が多く寄せられていた三部作をこの度、新たに解説を加え、新装版で復刊いたします。
今なお古びることがないリッチの力強い論考をこの機会に。
女性を無力化する
一つの政治的制度としての異性愛――
女たちは何を強いられ、何を求めてきたのか。
「すべての女」の連帯は、どのように可能か。
女は、女であることによってのみ抑圧されるのではない。
おどろくべき高まりとひろがりをみせた70年代アメリカのフェミニズム。しかしそのなかでなお、黒人および少数民族の女性とレズビアンたちは、人種主義と異性愛制度のもとで沈黙を強いられてきた。アイデンティティをつきつめ、「私」と「あなた」をへだてているものと両者が共有しているものをひとつひとつ吟味しながら、新たなフェミニズムへの道を探る。シャープでしなやかな思考に貫かれた79-85年論集。社会によって事実上強制されている異性愛に対して抵抗することの意味を論じた「強制的異性愛とレズビアン存在」を所載。
解説:イリナ・グリゴレ
「あなた、ユダヤ人でしょう?」
十八年間の同化訓練がたちどころに反射作用をひきおこして、私は首をふり、彼女を拒み、「いいえ」と言っていた。ほんとうは何に対して「いいえ」と言っていたのだろう?(本文より)
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【目次】
はじめに
1 女は何を知る必要があるか
2 ロレイン・ハンスベリという難問
3 強制的異性愛とレズビアン存在
4 不服従と女性学
5 もっとフェミニズム批評を
6 根っこの裂け目――ユダヤ人アイデンティティ
7 アウトサイダーの目
8 記憶喪失に抵抗する―歴史と個人の生活
9「あそこへ行く」ことと、ここにいること
10 北アメリカの視野狭窄
11 血、パン、詩。――詩人の位置
12 女性の大学の魂
13 大学社会でのレズビアンの不可視性
14 もし他者とともにでないとしたら?
15 位置の政治学のための覚え書
訳者あとがき
解説「彼女の知と血」イリナ・グリゴレ
原注
1929-2012年。ボルティモア生まれ。現代アメリカを代表する詩人、フェミニスト批評家。ハーバード大学ラドクリフ・カレッジ在学中に、詩集『世界の変化』(イエール青年詩人賞受賞)で詩人としてデビュー。60 年代初頭以降、母性、セクシュアリティ、人種差別、反ユダヤ主義、戦争などの問題を探求する詩や論考において、個人的なものと政治的なものを結びつけることにこだわった。ルース・リリー賞、全米図書賞、ラナン財団生涯功労賞、マッカーサー・フェローなど受賞多数。
1931-2018年。東京女子大学文学部卒業。訳書にミヒャエル・エンデ『モモ』(岩波書店)、ホフマン『黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ』『砂男/クレスピル顧問官』『くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女』(いずれも光文社古典新訳文庫)、ハンナ・アーレント『全体主義の起源』2・3(共訳)『ラーエル・ファルンハーゲン―ドイツ・ロマン派のあるユダヤ女性の伝記』『アーレント= ハイデガー往復書簡1925-1975』(共訳)(いずれもみすず書房)など多数。
文化人類学者。1984年ルーマニア生まれ。2006年に日本に留学し、一時帰国後、2009年に国費留学生として来日。弘前大学大学院修士課程修了後、2013年に東京大学大学院博士課程入学。青森県内を主なフィールドに、獅子舞や女性の信仰を研究する。2023年にはバヌアツで女性を対象としたフィールドワークを始めている。キーワードはイメージ、自然観、死生観、有用植物、霊魂。著書に『優しい地獄』(亜紀書房)、『みえないもの』(柏書房)。