吉本隆明全集27[1992-1994]

吉本隆明 著
A5判変型上製 662頁
定価:7,370円(本体6,700円)
978-4-7949-7127-2 C0395〔2021年12月〕


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最後の詩「わたしの本はすぐに終る」、
『現在はどこにあるか』などを収録

最後の詩「わたしの本はすぐに終る」、および「現在」という作家と日々生み出される作品の作者たちの関心のありかを結びつけて論じる『現在はどこにあるか』などを収める。第28回配本。

月報は末次弘氏、前田英樹氏、ハルノ宵子氏が執筆。

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【目次】


わたしの本はすぐに終る                      5


現在はどこにあるか
 現在への追憶
 反現在の根拠
 物語のゆらぎ
 マス・カルチャーからの認識
 私小説は悪に耐えるか
 輪郭は作れるのか
 お伽話の距たり
 奇妙な世界に行く
 ビジネス書の内と外
 擬人化の世界
 伝記的ということ
 自然と死の物語
 詩の順序
 経験知の世界
 あとがき


大西巨人『神聖喜劇』
「路たり」を記述すること――色川武大『私の旧約聖書』――
「笑」はどこへ行った。
おもろさうし
おもろさうしとユーカラ
隅田川昨今
『遠野物語』の意味
情況への発言――さまざまな死――[一九九二年五月]
「書評」を書く難しさ
長谷川慶太郎・鷲田小彌太『21世紀の世界をさぐる――マルクス主義を超えて――』
今西錦司――ただ一度の出会い――
バタイユの「悪」について
幼児のころの沖縄のイメージ
前登志夫の呪術性と野生
井上光晴の声
中上健次氏を悼む
三木成夫について
人に読んでもらいたいオーソドックスな十冊――思想書べスト10――
思い出の本
背景の記憶
漱石の描いた理想の女性像
わが読書
清岡卓行の大連
清水さんの社会学
百人一首の遊び
茂吉短歌の初期――『赤光』について――
イザイホーの象徴について
私の実朝像
卵をめぐる話
桜について
胎児という時期
絶望的かつ楽天的な、日本の思想書――思想書(日本)ベスト50――
隅田川有情
出口裕弘『夜の扉』
吉本ばななをめぐって 
饗庭孝男『西行』
わが古典――太宰治『黄金風景』――
斎藤茂吉の歌の調べ
読むことの愉しみ
二葉亭の文学
東京に住む
三木成夫さんについて
親鸞の十八願
平林一様
おみくじ「兇」の一年
作者の資質の根をあらわにした短篇――短篇小説ベスト3――
横溢する生命エネルギーとの交歓――岡本かの子『女体開顕』――
情況への発言――ひそかな経済工学――[一九九三年一二月]


社会風景論 
 金丸信保釈の日/山崎浩子の場合/PKO有情/政治改革の話/言葉がこわす話/角川春樹について/古都の話/コメをめぐる奇譚/プロ野球のFA騒ぎ/初詣の感想/相撲見物期/科学技術の先端/科学離れということ/わたしの景況判断/迷走する政治劇/大情況の話
   
時代という現場
 料理・人・味/矢負いガモと連合赤軍/不況への関心/言葉なき華麗な物語/サムサノ夏/ゴミ当番の感想/田中角栄の死/またけむ人/「現在」を感じる/核疑惑のこと/中学教育/人間の適応力


慶祝三十周年
基調講演「都市美の伝統と現在」コメント
『鳩よ!』に寄せる言葉があれば

わが生涯の愛読書
’93単行本ベスト3

孤独で華のある軌道を歩み、知識の生きるべき帯域を示す[清水幾太郎]
大西巨人『三位一体の神話』
フォレスト・カーター『リトル・トリー』
町沢静夫『天才の法則』
選者の弁
橋本一子さんの音、声、空気。
二度きた北山修さん
笠原さんのいちばん重要な思想

『良寛』あとがき
『見えだした社会の限界』あとがき
『大情況論』あとがき
『新・書物の解体学』あとがき
『追悼私記』あとがき
『時代の病理』はじめに
『世界認識の臨界へ』あとがき
『こころから言葉へ』まえがき
『〈非知〉へ――〈信〉の構造「対話篇」』序
『〈非知〉へ――〈信〉の構造「対話篇」』あとがき
『試行』後記

解題(間宮幹彦)

 

◇吉本隆明(よしもと・たかあき)
1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。
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