パリの空の下ジャズは流れる

宇田川悟 著
四六判上製 624頁
定価:3,960円(本体3,600円)
978-4-7949-7369-6 C0095 〔2023年7月〕


アマゾンで購入する
楽天ブックスで購入する
セブンネットで購入する

 

初のフランス・ジャズの全貌

フランスにおいて異質の音楽として出発したジャズが、どのように受容・発展・普及したか、そしてどのように、20世紀のフランスと世界の芸術と文化の王道を歩んだか。自身の体験と取材によって、「音楽と人間」、その栄光と悲しみのすべてを記す。

ロックの種子は、欧州にいつ播かれたのかとい問いに、偉大なロック・ミュージシャンは次のように答えている。
「20世紀初頭、ジャズがパリに入ってきた。
それがすべてだ」
ーー村上龍さん推薦!

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【目次】

序 モンマルトルへの遠い道

永井荷風、ハービー・マン、ジャズ喫茶/中平穂積とDIG/パリに渡る/ニューオリンズ・ジャズとフランス
芸術の都 パリ

第一部 ジャズの都パリの誕生

ジャズ到来/パリのジャズの誕生/サルヴァドールをめぐって──石丸幹二との対話/エリック・サティのラグタイム/ドビュッシーとジャズ/ストラヴィンスキーとラヴェル/エディット・ピアフの恋/イヴ・モンタン「世界の恋人」
大杉栄とモンマルトル/林芙美子と〈シャ・ノワール〉/
美輪明宏のパリ/コクトーとジャズ・クラブ〈屋根の上の牡牛〉/マルセル・プルーストの決闘騒ぎ/ジャン・ヴィエネール/ダリウス・ミヨー 「本物のジャズ」の衝撃/モーリス・ラヴェル/薩摩治郎八とジャズ/サンドラールとピカビア/写真家 マン・レイ/コクトー アメリカとは別のジャズを/『パラード』の衝撃/『パラード』の反響/エリック・サティ/アポリネールの胸像/コクトーとアメリカ/ジャンゴ・ラインハルトとの出会い/ジャンゴとルイ・アームストロング/ジョセフィン・ベーカー・ショック/ベーカーとヘミングウェイ/ジョセフィン・ベーカーのアメリカ公演/ジャズ歌手ブリックトップ/ラングストン・ヒューズとジャズ・ポエトリー/フラッパー、ナンシー・キュナードの生と死/魔都ベルリン/エルヴィン・シュルホフ/ジョセフィン・ベーカーの死/ミシェル・レリス/武満徹、岡本太郎

第二部 ジャンゴ・ラインハルトとボリス・ヴィアンのパリ

ジャンゴ・ラインハルトの生まれた地/ジャンゴ・ラインハルトの登場/ジャン・サブロンとの出会い/ルイ・アームストロングを知る/ジャンゴ・ラインハルト神話へ/占領下のスウィング・ジャズの大流行/ザズーの青春/放浪者の音楽と栄光/エディ・ロズナー/永遠のジャンゴ/ジャンゴのパリ帰還、ビ・バップ/アメリカ公演での失態/ジャンゴ・ラインハルトの死/『ルシアンの青春』とジャンゴ/占領下のパトリック・モディアノ/ココ・シャネルの戦い/ピカソのステーキ/ボリス・ヴィアンとパリ解放/戦中・戦後のヴィアン、コクトー/ビックス・バイダーベック、村上春樹/ボーヴォワールと『うたかたの日々』/サン・ジェルマン・デ・プレのカフェとサルトル
パリのカフェ、ヘミングウェイ/サルトルとヴィアン/バー〈タブー〉とフランス・ジャズ/グレコとの邂逅/ 〈ク
ラブ・サン・ジェルマン〉/デューク・エリントンのパリ/パリの散歩道/フランソワーズ・サガン/ミシェル・ビュトール/ヴィアン『墓に唾をかけろ』/ミュージシャンとしてのボリス・ヴィアン/アンリ・サルヴァドールとミシェル・ルグランのジャズ/ボリス・ヴィアンの死/

第三部 パリの空の下ジャズは流れる

大江健三郎、バド・パウエル、セロニアス・モンク/サルトルと実存主義/ボーヴォワールのアメリカ/サルトルの葬儀/ゲンスブール親子/フランソワーズ・アルヌールとの邂逅/アルヌールとジャズ/マイルス・デイヴィスのパリ/ギタリスト、サシャ・ディステル/『死刑台のエレベーター』/『死刑台のエレベーター』とルイ・マル監督/その後のマイルスとグレコ/マイルスとグレコの死/『鬼火』のルイ・マル、モーリス・ロネ/モーリス・ロネの死/
ベッケル、ルノワール、メルヴィル/アラン・ドロン/ジャン・レノの来宅/ジャズとフランス映画/アンドレ・オデール/フランス・ジャズの行方/宮澤賢治・武満徹とジャズ/アーチー・シェップよさらば/パリのミュージシャンたち──キース・ジャレット/ビル・エヴァンス/オーネット・コールマン/パット・メセニー/ミルト・ジャクソン、ジョン・ルイス/チャールズ・ミンガス/マティスと音楽

主要参考文献

 

◇宇田川悟(うだがわ・さとる)
一九四七年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。作家。二〇年にわたるパリ生活より、フランス社会事情、文化、ガストロノミーに詳しく、フランスの音楽について取材、雑誌を中心に日本のメディアで発表してきた。二〇一〇年フランス農事功労章シュヴァリエ受章。主な著書に、『食はフランスに在り』(小学館ライブラリー)、『パリの調理場は戦場だった』(朝日新聞社)、『書斎探訪』(河出書房新社)、『フレンチの達人たち』(幻冬舎文庫)、『フランス料理は進化する』(文春新書)、『ホテルオークラ総料理長小野正吉』(柴田書店)、『覚悟のすき焼き』(晶文社)、『VANストーリーズ』(集英社新書)、『欧州メディアの興亡』(リベルタ出版)などがある。訳書に二〇一四年にノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアノ著『カトリーヌとパパ』(ジャン=ジャック・サンペ絵、講談社)など。
関連書籍