新版 噓、秘密、沈黙。

アドリエンヌ・リッチ 著 大島かおり 訳
四六判並製 564頁
定価:4,400円(本体4,000円)
978-4-7949-7476-1 C0398〔2025年6月〕


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創立65周年記念
アドリエンヌ・リッチ三部作、
待望の復刊!

1989~1990年にかけて小社より刊行されたアドリエンヌ・リッチ著『女から生まれる』『噓、秘密、沈黙。』『血、パン、詩。』
復刊を望む声が多く寄せられていた三部作をこの度、新たに解説を加え、新装版で復刊いたします。
今なお古びることがないリッチの力強い論考をこの機会に。

わたしたちは
自分のからだで噓をつくよう
期待されてきた

女とは何か。女として生きるとはどういうことか。一人の女として、母として、詩人としての自らの経験を深く堀りさげ、母性神話について、異性愛について、女の教育と仕事についてラディカルに問う。そして、男によってつくられてきた歴史や文化のなかで、女の生きかたを解放する視点を明らかにする。つねにフェミニズムの原点にたちもどりつつ、その最前線を歩んできた詩人の論考を紹介。
解説:満谷マーガレット

教えることに私が興味をひかれるのは、たまさかの天才の出現のためであるよりも、言語をもたなかった人びと、言語をもてないほどに利用され虐待されてきた人びとによる、全面的な言語の発見のためなのである。(本文より)

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【目次】

はじめに

1 アン・ブラッドストリートの精神的緊張

2 わたしたち死者が目ざめるとき

3 自由入学制大学の言語教育

4 反フェミニスト女性

5 生きのびる意志―エリナ・ロス・テイラーの詩

6 ジェイン・エア―母のない女が出会う誘惑

7 女像柱―二つのコラム

8 アン・セクストンの死を悼む

9 女性中心の大学をめざして

10 エミリ・ディキンスンの力―家庭のなかのヴェスヴィウス火山

11 女と名誉―噓についての覚え書

12 束縛された母性

13 私たちの内なるレズビアン

14 仕事の条件―女性の共通世界

15 夫の権利と父の権利

16 私たちが女を愛することの意味

17 教育をもとめる権利

18 女の学と真剣に向き合う

19 権力と危険

20 母性―現在の緊急事態と未来への大活躍

21 文明への不忠誠― フェミニズム、人種主義、ガインフォビア

訳者あとがき

解説 満谷マーガレット

原注

 

◇アドリエンヌ・リッチ(Adrienne Rich)
1929-2012年。ボルティモア生まれ。現代アメリカを代表する詩人、フェミニスト批評家。ハーバード大学ラドクリフ・カレッジ在学中に、詩集『世界の変化』(イエール青年詩人賞受賞)で詩人としてデビュー。60 年代初頭以降、母性、セクシュアリティ、人種差別、反ユダヤ主義、戦争などの問題を探求する詩や論考において、個人的なものと政治的なものを結びつけることにこだわった。ルース・リリー賞、全米図書賞、ラナン財団生涯功労賞、マッカーサー・フェローなど受賞多数。
◇大島かおり(おおしま・かおり)
1931-2018年。東京女子大学文学部卒業。訳書にミヒャエル・エンデ『モモ』(岩波書店)、ホフマン『黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ』『砂男/クレスピル顧問官』『くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女』(いずれも光文社古典新訳文庫)、ハンナ・アーレント『全体主義の起源』2・3(共訳)『ラーエル・ファルンハーゲン―ドイツ・ロマン派のあるユダヤ女性の
伝記』『アーレント= ハイデガー往復書簡 1925-1975』(共訳)(いずれもみすず書房)など多数。
◇満谷マーガレット(みつたに・まーがれっと)
翻訳家。アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグ出身。ウースター大学卒業、東京大学大学院比較文学比較文化修士課程修了。40 年以上にわたり、椙山女学園大学短期大学部、東京工業大学、共立女子大学などで教鞭をとり、共立女子大学名誉教授も務めた。多和田葉子、角田光代、大江健三郎などの作品の英訳を手掛ける。2018 年、多和田葉子著『献灯使』の英訳で全米図書賞(翻訳文学部門)を受賞。
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