――国周の風刺画「善悪鬼人鏡」が明らかにする「江戸の情報知」
若林悠 著 監修・解説:中村彰彦
四六判並製 252頁
定価:1,980円(本体1,800円)
978-4-7949-7480-8 C0095 〔2025年7月14日発売予定〕
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この浮世絵、
よく見るとちょっとヘン!?
幕末の人気浮世絵師・豊原国周[とよはら・くにちか]。彼が密かに仕組んだ「秘密」[コンフィデンシャル]とは。
浮世絵「善悪鬼人鏡」44セット・フルカラーにて掲載!
戊辰戦争の真っ最中に、江戸の人気浮世絵師・豊原国周によって密かに描かれた風刺画シリーズ。そこに込められた「暗号」の解読(=コードブレイク)を通し、現代人がほとんど知らない江戸時代の庶民の情報力と両軍への評価を浮き彫りにする。丹念かつアイディアに溢れた探究により明らかになる、新たなる「幕末の常識」とは。
監修・解説、中村彰彦氏
「歴史はよく「勝者の歴史でしかない」といわれ、ある時代の庶民たちの感覚を書き留めた史料は非常に少ない。本書は「善悪鬼人鏡」を読み解くことによって当時の江戸っ子たちの感覚をあきらかにした労作である」(「解説」より)
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【目次】
幕末史概略
1 鬼薊清吉――徳川慶喜(一五代将軍)
2 稲葉幸蔵――薩摩藩
3 佐嶌典覚――会津藩
4 葉紐丹左衛門――庄内藩
5 山中藤太良――小栗上野介(幕府の勘定奉行)
6 宇治常悦――勝海舟(幕府の陸軍総裁)
7 両面藤三郎――姫路藩
8 大川友右衛門――加賀藩
9 鼠子僧次郎吉――彦根藩
10 鬼神於松――和宮(一四代将軍の正室)
11 熊坂お長――天璋院(一三代将軍の正室)
12 大野典膳――玉蟲左太夫(仙台藩)
13 築土佐吉――長岡藩
14 梶ノ長兵衛――長州藩
15 石川五右衛門――有栖川宮(東征大総督)
16 神力民五郎――天野八郎(彰義隊)
17 人丸ノ於六――富士重本(大宮浅間神社神職)
18 水嶌左門――新門辰五郎(慶喜派の侠客)
19 赤木原現吉――榊原鍵吉(幕府の剣術師範役)
20 梶ノ木金輔――尾張藩
21 木鼠小法師――桑名藩
22 桂中納言実ハ貞任――土佐藩
23 雲切仁左衛門――肥前藩(=佐賀藩)
24 幡随院長兵衛――高田藩
25 菅丞相――輪王寺宮(奥羽越列藩同盟の盟主)
26 藤原時平公――九条道孝(奥羽鎮撫総督)
27 はんがく女――岩倉具視(新政府派の公家)
28 鳥井又左衛門――酒井了恒(庄内藩)
29 女勘助――村山たか(井伊直弼の妾)
30 外山勝之丞――相楽総三(赤報隊)
31 赤星重三――大垣藩
32 大天狗霧太郎――水戸藩
33 だっきのお百――仙台藩・米沢藩
34 朝日奈藤兵衛――前田家(日本最大の大名家)
35 黒船忠右衛門――梅田雲浜(尊王攘夷派の魁)
36 日本駄左衛門――林昌之助(諸西藩)
37 弁天小僧菊之助――睦仁天皇
38 相馬平太郎良門――盛岡藩
39 外ヶ浜南兵衛――津軽藩
40 南郷力丸――八戸藩
41 尾形自来也――榎本武揚(蝦夷共和国総裁)
42 舘村治郎三郎――伊庭八郎(遊撃隊)
43 大谷源左衛門――土方歳三(新選組)
44 貞婦綱手――蝦夷
参考文献一覧
浮世絵クレジット一覧
おわりに
解説 中村彰彦
同志社大学文学部卒。関西在住。風刺画収集・研究家。著書に『風刺画とアネクドートが描いたロシア革命』『風刺画とジョークが描いたヒトラーの帝国』(いずれも現代書館)、『風刺画が描いたJAPAN 世界が見た近代日本』(国書刊行会)がある。
1949年、栃木県生まれ。東北大学文学部卒。91年に作家として独立。史実至上主義を貫く歴史小説の第一人者。87年『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞、93年に『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年に『二つの山河』で第111回直木賞、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞。主著に『名君の碑 保科正之の生涯』はじめ著作多数。