孤独の処方箋

――町の診療所から見えた「見えない孤立」の正体

貝沼圭吾 著
四六判並製 240頁
定価:2,090円(本体1,900円)
978-4-7949-8061-8 C0036〔2026年7月24日発売予定〕


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医療は孤独を救えるのか?

小児科医として数多くの子どもと家族に向き合ってきた著者が、診察室で出会った「孤独」の実像を描き出す

「孤独」は、検査では見つからない。けれども、それは確かに心と体をむしばみ、ときに病気や子育ての困難をさらに深くしていく。

小児科医として数多くの子どもと家族に向き合ってきた著者が、診察室で出会った「孤独」の実像を描き出す。1型糖尿病、医療的ケア児、小児肥満、不登校、産後の孤立――当事者や家族が抱える声なき苦しみに耳を澄まし、地域のクリニック、子ども食堂、産後ケア、多世代交流など、つながりを回復する実践を紹介。

必要なのは、ただ治療することだけではない。誰かと出会い、頼り、安心して生きられる場所をつくること。医療・福祉・子育てに関わる人はもちろん、孤独を自分自身や身近な人の問題として考えたいすべての人へ。

明日を少し楽にするための、新しい医療と地域のあり方を提案する一冊。

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【目次】

はじめに

 

第1章 診察室で出会う、さまざまな孤独の形

検査では見つからない、「孤独」という病
2人に1人が孤独を身近に感じる時代
夜中、スマホの光を頼りに授乳するAさんのケース
4割の母親が「孤立や孤独を感じる」
「1型糖尿病」とは何か
「自分だけが違う……」病気の子どもが抱える孤独
修学旅行で先生と一緒の部屋を提案されたB君のケース
「友だちの前で血糖値を測るのが恥ずかしい」
診察室で爆発した「声なき声」の正体
周囲の善意が子どもを救うとは限らない
少しずつ心をすり減らしていく病気の子どもの母親
全国2万人に上るも、支援が届かない医療的ケア児
医療的ケア児と家族、半数が「社会から孤立」を実感
医療的ケア児の母であることを公表している野田聖子議員
1日タバコ15本に匹敵!? 孤独が体に与える悪影響
手軽に得られる情報を追いかけて、自分を追い込んでいく人々
「孤育て」が母親を「検索魔」にする
あっという間に過ぎる子育て期をもっと楽しんでほしい
現代の保護者に求められる「家庭看護力」
治療方針に影響がないなら、検査は不要なことも
先の見えない暗闇の中を歩いていた少年時代
再び光のある世界へ連れ戻してくれた恩師の存在
体育教師になりたかった思いを胸に、小児科医の道へ
転機となった厚生労働省への出向
孤独を救うために、地域のクリニックは何ができるのか?

 

第2章 クリニックから始まる共生の実践

1型糖尿病は、生活習慣とは関係なく発症する
イギリスのメイ元首相も1型糖尿病だった!
同じ病気の子どもと出会える糖尿病サマーキャンプ
自分の体と向き合いながら、自立への第一歩を踏み出す場所
研修医時代に参加して、サマーキャンプの虜になる
炭水化物量をあらかじめ量れない流しそうめんにチャレンジ!
「危ないからやらせない」ではなく、「どう工夫すればできるか」
見過ごせない重症の小児肥満児、放置すれば将来の疾病リスクも
長い歴史を持つ三重病院における小児肥満治療
重症の小児肥満の背景には、さまざまな要因が隠れている
生活困難世帯は肥満児が多い傾向も
食事が孤独を埋める道具になっている?
重症の肥満児を対象としたヘルシーキャンプの挑戦
最重症の肥満児に対しては、長期の入院治療が効果的
肥満で入院している子どもには不登校や心療科受診が多い
問題は単なる「食べすぎ」ではなく、生活背景に要因がある
肥満児たちにソーシャルスキルトレーニングを実施
入院治療を経て、再び登校意欲が生まれたE君のケース
肥満度100%から20%台まで改善したFちゃんのケース
子どもたちの成長がつづられた手紙は大切な宝物
キーワードは「多世代共生社会」と「ともいき」
産後から子育て期までをシームレスにサポート
多彩な企画で子育てをサポートする子育て支援センター
「地域交流会」では0歳児から80歳までが交流も
医療的ケア児の保護者が交流できる場も
半数が病児保育を利用意向も、実際の利用は1割強
小児科医が考える、病児保育よりも大切なもの

 

第3章 つながりのバトン 未来へ手渡す

産後のお母さんたちを支える産後ケアハウス
「孤食」を減らし、子どもに体験を提供する子ども食堂
子ども食堂のボランティアで生きる力を取り戻したGさんのケース
地域の高齢者の力を活用して、働く女性をサポート
1型糖尿病の患者や医療的ケア児の母親がスタッフとして活躍
人と人との結びつきを生み出す祭りの意義
古き良き日本のあり方を、現代に生かす
デザイン思考で課題の解決を目指す
地域のクリニックがハブとなり結びつきを取り戻す
「街の健康相談所」としての役割を果たす
かかりつけ医が実践する「社会的処方」
21世紀に求められる「ともいきモデル」
「今より少し楽しく、安心して過ごせる街」を次世代につなぐ

 

おわりに

 

◇貝沼圭吾(かいぬま・けいご)
2006年に三重大学医学部卒業。その後、アレルギー、糖尿病を専攻し、肥満とアレルギー疾患の関連等の臨床研究、基礎研究を行い、医学博士取得。また、2017年からは、アレルギー疾患対策基本法の政策展開のため、厚生労働省健康局がん・疾病対策課に課長補佐として出向。アレルギー・リウマチ対策、糖尿病対策、風しん第5期接種の制度設計に従事。その後2020年から実家の貝沼内科小児科に戻り現職に至る。同時に、グロービス経営大学院で経営学を学び、2022年経営学修士(MBA)を取得。また、京都芸術大学大学院学際デザイン研究領域で社会デザインを学び、2026年に芸術修士(MFA)課程を修了した。医療を中心に据えた地域共生社会の実現に向け、病児保育室、子育て支援センター・子ども食堂などを運営している。