コミック・ヘブンへようこそ

パク・ソリョン 著 チェ・サンホ 絵 渡辺麻土香 訳
四六判並製 192頁
定価:2,200円(本体2,000円)
978-4-7949-7447-1 C0097〔2024年11月〕


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韓国文学界の新鋭作家が放つ
傑作短編集

本書に登場するのは今日も何事もなく生きていくために奮闘する、私たちの周りの特別でない人たち。24時間営業の地下マンガ喫茶での夜勤中に絶体絶命の危機を経験し(「コミック・ヘブンへようこそ」)、がん患者がかつらを探しに行き(「秋夕目前」)、つらい毎日を送る売れない俳優に奇跡が起こり(「ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期」)、兵役中のボーイフレンドを待つ女性たちが集まったインターネットコミュニティに没頭することもある(「IDはラバーシュー」)。
温かい視線とユーモアを交えながらSF、ホラー、コメディまで、韓国文学界の新鋭作家が放つ傑作短編集。

『ベル・ジャー』『危険なトランスガールのおしゃべりメモワール』が大好評、海外文学シリーズ「I am I am I am」第三弾!

 

【本文より】

辞めてやる、まじで。昨日今日で思いついたことではないけれど、今回は本気だ。(「コミック・ヘブンへようこそ」

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問題なく使えていたホチキスをいたずらに捨てて新しいものに買い替える感じ。いうなれば、わたしたちはホチキスみたいなものなんだ。そこらの事務用品と同じなんだ。(「自分の場所」

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主演どころか、俳優としてスクリーンに映った時間を一秒あたり米つぶ一つとして換算すると、メン・スニョンの出演時間はどんなにかき集めても、大さじ一杯分になるかどうかというところだが、それでもメン・スニョンは俳優だ。(「ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期」

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そんな感じで気持ちよく目が覚めたので、ここが病院だと気づいた時には違和感を覚えました。(「ミニョン」

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「お金はあるんですか?」「お金?」
「ウィッグを買うんでしょ? そのお金はあるんですか?」(「秋夕直前」

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彼を好きになれるかどうかはまだわからない。けれど、彼に、わたしのことを好きになってほしいとは思った。(「恐竜マニア期」

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前日の電話で、ロは“完璧な椅子”を買いたいと言った。(「Love Makes the World Go ’Round」

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彼氏が兵役に行ってる間に彼女が心変わりすることを「ゴムシンを逆さに履く」っていうのだけは知ってたんですけど、兵役中の彼氏がいる女性自体をゴムシンっていうのは知らなくて。これまでは兵役済みの人としか出会わなかったのに、今回はどういうわけか年下と出会ってしまったんですよね。(「IDはラバ
ーシュー」

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家は無理だけど、牛乳なら一本買ってあげる。(「ミルクメイド」

 

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<「I am I am I am」シリーズ>
物語を読むことで、今まで見過ごされていた声に触れる海外文学選書シリーズ。「手に取りにくい・堅い・難しそう」じゃない、初めて海外文学を手に取る方にもおすすめできるシリーズです。

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【目次】

作家の言葉

コミック・ヘブンへようこそ

自分の場所

ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期

ミニョン

秋夕目前

恐竜マニア期

Love Makes the World Go ’Round

IDはラバーシュー

ミルクメイド

訳者あとがき

 

◇パク・ソリョン
1989年、鉄原(チョルォン)で生まれる。2015年「実践文学」新人賞を受賞し、作家デビューを果たす。著書に長編小説『滞空女 屋根の上のモダンガール』(三一書房)、『マルタの仕事』(未邦訳)、『シャーリー・クラブ』(亜紀書房)、『ホルモンがやったの』(未邦訳)など。ハンギョレ文学賞および若い作家賞も受賞している。
◇渡辺麻土香(わたなべ・まどか)
韓日翻訳者。訳書にキム・ヨンソプ『アンコンタクト 非接触の経済学』(小学館)、ハン・ミファ『韓国の「街の本屋」の生存探究』(クオン)、オリガ・グレベンニク『戦争日記 : 鉛筆1 本で描いたウクライナのある家族の日々』(河出書房新社)、ソン・ウォンピョン『威風堂々キツネの尻尾』(永岡書店)、ペク・ソルフィ、ホン・スミン 『魔法少女はなぜ世界を救えなかったのか?』(晶文社)などがある。
◇チェ・サンホ
日常の中で出くわす事物を通して抱いた感情を、一編のストーリー、もしくは壮大な物語へと落とし込む作業をしている。
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