ダーウィン左派

――進化論をふまえて平等な社会をつくる

ピーター・シンガー 著 児玉聡 林和雄 訳
四六判並製 128頁
予価:1,980円(本体1,800円)
978-4-7949-8067-0 C0012〔2026年8月25日発売予定〕


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右派に進化論を
明け渡さないための道筋

進化論にはこれまで、弱肉強食や優勝劣敗といった酷薄なイメージがつきまとってきた。そのため平等や福祉、弱者への配慮を重んじる左派とは相性が悪いと考えられてきた。

しかし、本当にそうなのだろうか?

本書でシンガーが示すのは、弱者の切り捨てを正当化する右派に進化論を明け渡さないための道筋である。

人間はたしかに利己的で、競争的で、地位を求める存在である。しかし同時に、協力し、互恵的な関係を築き、他者の苦しみに応答する存在でもある。問題は、人間が現実にどのような存在であるかを見きわめたうえで、協力が生まれやすい社会をどう設計するかにあるのだ。

シンガーは、理想を捨てよと言っているのではない。むしろ、弱者や貧者に味方するという左派の理想を守るためにこそ、人間についての幻想を手放し、生物学的な現実を直視すべきだと言っているのである。

進化論、政治思想、倫理学、動物倫理が交差する、短くも刺激的な一冊。2003年に刊行され好評を博しながら長らく絶版になっていた名著、待望の新訳。

平等で協力的な社会をのぞむひとのための小さなバイブル。

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【目次】

凡例

 

はじめに

新しい土台の必要性

左派にとって本質的なことは何か?

 

第一章 政治とダーウィン主義

右派による乗っ取り

事実と価値

左派はどのようにダーウィンを誤解したか

完成可能性の夢

古い曲が何度も流行る

 

第二章 左派は人間本性に関するダーウィン主義的な見解を受け入れられるのか?

不人気な思想

人間本性において何が固定的であり何が可変的なのか?

改革者たちはどのようにダーウィンから学ぶことができるか?

 

第三章 競争か協力か?

もっと協力的な社会をつくる

囚人のジレンマ

しっぺ返し戦略から学ぶ

 

第四章 協力から利他性へ?

利他性の進化の謎

何のための地位か?

 

第五章 ダーウィン左派の現在と未来

 

訳者あとがき

 

◇ピーター・シンガー(Peter Singer)
1946年生まれ。オーストラリア出身の哲学者。プリンストン大学教授。専門は応用倫理学。動物の解放や極度の貧困状態にある人々への支援を提唱する代表的な論者の一人。著書に『新・動物の解放』(井上太一訳、晶文社、2024年)、『なぜヴィーガンか?──倫理的に食べる』(児玉聡・林和雄訳、晶文社、2023年)、『飢えと豊かさと道徳』(児玉聡監訳、勁草書房、2018年)、『あなたが救える命──世界の貧困を終わらせるために今すぐできること』(児玉聡・石川涼子訳、勁草書房、2014年)など。『ザ・ニューヨーカー』誌によって「最も影響力のある現代の哲学者」と呼ばれ、『タイム』誌では「世界の最も影響力のある100人」の一人に選ばれた。
◇児玉聡(こだま・さとし)
1974 年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。京都大学大学院文学研究科教授。博士(文学)。専門は倫理学。著書に、『予防の倫理学――事故・病気・犯罪・災害の対策を哲学する』(ミネルヴァ書房 、2023 年)、『COVID-19 の倫理学――パンデミック以後の公衆衛生』(ナカニシヤ出版、2022 年)、『実践・倫理学』(勁草書房、2020 年)など。
◇林和雄(はやし・かずお)
1992年生まれ。2022年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(京都大学、文学)。現在、京都大学大学院医学研究科助教。原著論文に「J・S・ミルにおける個性の発展」(『倫理学研究』第53号、2023年)など。