トントン先生は八百屋医者

――プライマリ・ケア時代が求める「本物の診断力」

原朋邦 著
四六判並製 228頁
定価:1,980円(本体1,800円)
978-4-7949-8041-0 C0036〔2026年1月23日発売予定〕


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トントンーー
打診の音で
救える命がある。

プライマリ・ケア時代が求める「本物の診断力」

現代の医療現場では、誤診を恐れるあまり検査を重ねる一方で、「本当に必要な検査」が抜け落ちるという逆説的な事態が起きています。その背景にあるのが、医師の自力で診断する力=診断力の低下です。本書は、小児科一筋60年の“トントン先生”が“八百屋医師”として培った経験をもとに、プライマリ・ケア時代に求められる真の診断力と、受け・つなぎ・続ける医療の姿を具体的に示します。検査に頼る前に患者さんと向き合い、患者さんの全身と生活を丸ごと診る“八百屋医者”の実践は、若い医師はもちろん、かかりつけ医に何を期待すべきかを考えるすべての人の指針になる一冊です。

社会が変われば医師の仕事も変わる
ならば今、求められるものは何だろうか

小児科一筋60年の現役医師が伝える
これからの医師たちへのメッセージ

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【目次】

はじめに

 

第1章 受ける・つなぐ・続ける医療

外地で生まれ、広島県呉市の海軍病院官舎で育つ

父の書斎で、ドイツ語の解剖書を眺めた日々

子を亡くした母の姿が、小児科医を志す原点

官舎が空襲で焼失 愛媛で終戦を迎える

国保直診施設を誘致 地域のために働いた父

「人の役に立つ仕事をしろ」 祖父の教えが背中を押した

野口英世をきっかけに、「将来は医者」が既定路線に

自由主義の医学部で、口頭試問に四苦八苦

海賊版の医学書を入手し、警官に踏み込まれ

医学部卒業後、東京でインターンに励む

新米医師に下された、ありえない命令

予防接種が皮下注射で行われるようになったわけ

埼玉の市中病院で、診療・診断実績を積み上げる

「受ける・つなぐ・続ける」に徹するため、個人クリニックを開業

 

第2章 医の道と剣の道―通じ合うもの

高校時代、剣道との出合い。インターハイ出場

浪人生ながら国体に出場。強豪大学から次々勧誘を受ける

大学に掛け合い、練習場所を確保。部員の大量勧誘にも成功

チーム全体のレベルを上げるため、三大学対抗戦を創設

初心者集団が、九州インカレ優勝へ

個人としての活動と、五段獲得

「これは肺炎じゃない!」。試合前夜、監督が急病に

恩師の一言で悟った、剣道と医療の重要な共通点

勘やひらめきは天性のものではなく、努力で後付けされたもの

医師の心構えや配慮が、患者や家族の病気への対応の効果を上げることも

学会紛争のさなか31歳で医局長に。〝助手の国内留学制度〟を考案

最新の検査法を教えてほしい。よその大学病院の助教授に直訴

准看護師が大半の小児科を、剣道部仕込みの人材育成法でレベルアップ

第3章 医師の「基本」を何と考えるか

小児科医には、〝子どもならではの特性〟への理解が重要

AYA世代に必要な成人医学と小児医学の連携

相手のリテラシーがどのくらいのレベルなのか

遺伝性疾患を持つ少女の成長発達を見つめ、的確な時機に治療を開始

両手指を使って臓器の状態を探る打診が、疾患の早期発見に役立つことも

小児科医が上げるべき腕は打聴診とレントゲン写真の判読

マイコプラズマ肺炎や気管支喘息の診断にも、打診は有効

マイコプラズマの潜伏期間は2~3週間

昔の医師の指には打診の〝たこ〟があった

打診音の違いは、叩き方が弱いほど際立つ

打診を活用すれば、CTによる無用な被ばくを避けられた

予防接種は免疫システム構築を応援する強い味方

「自然免疫」と「獲得免疫」

副反応が皆無であるワクチンはない

「ワクチンで予防できる病気はワクチンで予防しよう」

子どもの予防接種は、病気を避け、健康に育つための権利

13年以上前に立ち上げた「彩の国予防接種推進協議会」

 

第4章 〝八百屋医者〟を名乗る

小児科医である私が「八百屋医者」を名乗る理由

トントン先生は医学博士なのです!

出された課題の証明は「ヒューマンで」

結論:「この課題に応えることはできない」

蛍光抗体法のメッカ、東京大学医科学研究所・川村教授を訪ねて

「君はノーベル賞でも獲りに行く気か?」

マウスが全滅、課題変更に

後ろめたさを感じながらの学位取得

アメリカの最新版教科書で学び続ける

 

第5章 プライマリ・ケア時代の真の診断力

あらゆる年代の患者を包括的にサポートするプライマリ・ケア

総合診療のスペシャリスト、家庭医がプライマリ・ケアの主な担い手に

プライマリ・ケアの担い手に求められる3つのスキル

工夫をこらせば、高額な機器がなくても診断はできる

集団検尿での異常を機に診断される疾患は多い

孫の学校検尿がきっかけで、祖父のがんが見つかった理由

ルーティン検査の意義や目的を、どれだけの医師自身が把握しているか?

髄液クロールが、結核性髄膜炎のルーティン検査になった理由とは?

検査できる自力がつけば、それだけ救える命が増える

画期的な電解質濃度測定法が登場。検査伝票を変更するも

症状は見えない。だからこそ上手に汲み取る技術がいる

思春期やせ症の女子高生が教えてくれた寄り添うことの大切さ

心雑音の原因を見抜けなかった心臓専門医に欠けていたもの

医師のトータリティは、患者の社会的背景にも及ぶ

社会が変われば医師の仕事も変わる。医師のトータリティに終わりはない

 

おわりに

 

◇原朋邦(はら・ともくに)
はらこどもクリニック院長。1938年ソウル生まれ。1969年熊本大学大学院医学研究科を修了。熊本大学医学部助手(小児科)を務める。1973年から国立西埼玉中央病院(現・独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院)小児科医長を務めるかたわら、附属看護学校講師・熊本大学医学部非常勤講師として医療人材の育成にも携わる。1991年にははらこどもクリニックを開設、1996年に医療法人社団皆誠会を設立する。なんでも診る「八百屋医者」と名乗り、小児科医としてのキャリアを活かした診療を行っている。著書に『子どもの体と心の不調を見逃さない40の知恵』(2025年、講談社)がある。