カメ水泳クラブは今日もゆっくり

イ・ソヒョン 著 渡辺麻土香 訳
四六判並製 160頁
定価:1,980円(本体1,800円)
978-4-7949-8071-7 C0095 〔2026年11月26日発売予定〕


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イチバンじゃなくていい。
ゆっくりでいい。

仕事に、子育てに、日々の暮らしに。
ずっと駆け抜けてきたあなたに届けたい、「ぷかぷか浮かぶ」ことから始まるスイミング・エッセイ。

新聞記者として育児と激務をこなすなか、甲状腺がんと椎間板ヘルニアと診断された著者。絶望のなか通い始めたプールで、コーチから告げられたのは「一番遅い人よりも、もっと遅く」という言葉だった。
常に100m走のように全力疾走してきた日々から、ゆっくり泳ぐことを学び、朝一番に通う母親や100歳を超えるおじいさんら「カメ水泳クラブ」の仲間たちに励まされながら、しだいに自分を取り戻していく。

熾烈な競争社会を生き抜いてきた韓国の女性記者が、泳ぎを通して見つけた、自分らしい生き方とは――。

わたしはずっとそうだった。韓国の一般家庭に生まれた長女なら大半がそうだと思う。真面目に勉強して親の言うことを聞き、しっかりと大学を卒業したら、きちんと就職して働くべし。そう教えられて育った十余年間、わたしは一日たりとも無駄にしないよう、頑張って生きてきた。一日くらいサボって遊んで、反抗の一つもしていれば、キックでぐんぐん前へ進むこともできただろう。なのに、わたしはただの一度も、いいかげんなキックをすることなく、足から力を抜くこともしなかった。そのせいで前にも行けず、そうかといって、はっきりとうしろに下がることもなく、ただなんとなく同じ場所に漂うことしかできなくなった。(本文より)

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【目次】

 

Prologue 母と水泳

第1部 人生は水泳のように

第2部 未熟さの世界で漂流する時間

第3部 ママが飛んでる

日本の読者のみなさんへ

 

 

◇イ・ソヒョン
水泳歴六年目のスイマー。新聞記者として十八年働き、現在はカナダに滞在中。幼少期、元気いっぱい駆け回る同年代を尻目に本ばかり読んでいたため、水泳を学ぶ機会を逸した。運動オンチゆえ身も心も凝り固まっていたが、三十代中ばで出くわした予期せぬ荒波を契機に、水泳こそが最高のサバイバル術であることに遅ればせながら気付いた。将来の夢は、バタフライが上手なおばあちゃんになること。
◇渡辺麻土香(わたなべ・まどか)
韓日翻訳者。訳書にイ・ユリ『ウエハース君』(晶文社)、スシンジ『ミョヌラギ』(玄光社)、キム・ヘナム『「大人」を解放する30歳からの心理学』(CEメディアハウス)、ハン・ミファ『韓国の「街の本屋」の生存探究』(クオン)など。